2. 市販ポテンショスタットとの組み合わせ:接続法

Analog Discovery には 30 ピンの外部接続端子がある.付属品として,ブレッドボードに接続することを想定したと思われるピンケーブルが付いているが,このままでは他の機器との接続がやりにくいので,適当な端子を取り付けたケースに納めると使いやすいし,汎用性もあがり,他の測定時にも対応しやすい.Fig. 2.1 に加工例を示す.

Analog Discovery本体もケース内部に固定するので,ケースにはUSBケーブル用の穴も空けておく必要がある (Fig. 2.1 では左側面).

Fig. 2.1 金属ケースに納めて端子を付ける. Fig. 2.2 内部の接続例.端子につながっていないケーブルは途中で切断してある.

本体のピン端子とケースのターミナルの接続には,付属ケーブルをそのまま流用するのが簡単である.ケースに取り付ける端子は,いわゆるバナナターミナルが使いやすいと思うが,BNC端子でもよい.単純に接続して差動入力にしておいた方が汎用性は高い.今回の目的には,1+,1-,2+,2-,W1,Ground の6本を残し,他のケーブルはショート等がおこらないように切断してしまうのが一番簡単である.Fig. 2.3 に40ピン端子のアサインメントを示すが,赤枠で囲った6箇所だけを使う.

Fig. 2.3 Analog Discovery の 30 ピン端子のアサインメント.
赤枠で囲ったところだけを使う.

ポテンショスタットはアナログの制御信号入力端子,電位出力端子,電流出力端子がある,古典的なアナログポテンショスタットであれば,基本的に何でも使える.接続ケーブルは,使用する機器によって適切に選択する.
ポテンショスタットとの接続は Fig. 2.4 を参照.
Analog Discovery の二つの入力端子,Ch1 と Ch2,のどちらを電位に,どちらを電流に割り当てるかで,二つの接続方法が考えられる.
WaveForms の Oscilloscope の X-Y 画面では,デフォルトでは Ch1 が X 軸 に割り当てられているので,左の接続の場合はデフォルトの設定のままでよい.右側の接続を使うときは,Ch2 を X 軸に,Ch2 を Y 軸に割り当てるように設定を変更する.この設定さえ適切に行なえば,通常のボルタンメトリやアンペロメトリの測定ではどちらを使うこともできる.

一方で,どちらかの接続でないと利用できない機能もあるので,注意が必要である.たとえば,微分容量測定で用いる "Impedance" モードでは (A) の接続 (Ch1 が電位) にする必要がある.一方,電気化学インピーダンス ("Network" モードを使用) では Ch2 を電位にする (B) を使う必要がある.詳しくは各節の説明を参照していただきたい.

Fig. 2.4 ポテンショスタットとの接続.(A) Ch1 に電位,Ch2 に電流を割り当てる接続.(B) Ch1 に電流,Ch2 に電位を割り当てる接続.

Analog Discovery の記録系は 2ch なので,写真のようなバイポテンショスタットを使っても両方のユニットの記録をすることはできない.たとえば回転リング-ディスク電極法の記録はこのままではできない.現在の WaveForms は複数の Analog Discovery を同時に操作することができるので,Analog Discovery を 2 台用意すれば,バイポテンショスタットをフルに利用することができる.


1. Analog Discovery と WaveForms    目次  3. ポテンシャルステップクロノアンペロメトリ